社会人5年目の20代が大手SIerからWeb系企業へ転職を決めたときの話
大手電機メーカーのSIerに入社して、4年9か月。
現在の企業を退職し、新しく別の会社に入社することを決意しました。
転職先はWeb系の企業。
システムを作って納める立場から、システムを運用する立場への変化です。
転職を決断した理由と、今後どんな人生を歩んでいきたいか。
約半年間、考えた内容は、他の誰かにも役に立つものと思い、今回文章に起こすことにしました。
目次
これまでの経歴
私が入社した大手電機メーカーのSIerにおけるざっくりとした経歴は以下です。
年次 | やったこと |
---|---|
1年目4月~6月 | 社会人基礎やIT基礎の研修 |
1年目7月~9月 | 製品理解のための研修受講など |
1年目10月~3月 | パブリッククラウドを使ったサービス開発のための検証 |
2年目4月~3月 | システム構築のプロジェクト管理 |
3年目4月~4年目3月 | 出向先のセキュリティ専門機関にてCSIRT業務 |
5年目4月~5年目12月 | システム構築の提案及び設計 制御セキュリティ分野における製品検証およびソリューション検討 |
個人的に転機となったのは、2年間の出向から帰任した、5年目の春でした。
転職を考えたきっかけ
社会人4年目が終わり、出向から戻る直前になって 自分は今後何をしたいのか。どうなっていきたいかを深く考えるようになりました。
社会人になってからの4年間で、
- 組織の看板を背負って社外の人と接する仕事ができるやりがい
- 自身がこれまでに経験したことのない分野に挑戦し、成長を実感できる楽しさ
- 社外の同世代と出会うことで得られる競争意識と成長意欲
を感じたことや
- 20代から活躍する経営者が世の中にはたくさんいること
- ITを働く人間としてGAFAやBATHを意識した時の自身の市場価値に疑問を感じ始めたこと
- 次々と新しい技術が誕生し、市場が目まぐるしく変化していること
を日々のニュースなどを通して意識するようになったことが、私自身がキャリアを改めて考え直す契機になりました。
今の企業でのキャリアを模索
私自身、転職経験がなかった上、職場の人間関係に大きな不満があったわけではなかったため、社内での異動を含めた方向性でまずはキャリアを考えてみました。
所属している企業は事業領域の広い大企業だったし、何かしらの道があれば、それを利用しない手はないと、感じたからです。
そして、自身の立ち位置を見直す意味でも、まずは所属部署におけるミッションを見返してみました。
コストセンターとプロフィットセンター
企業において、社内の役割を大別する言葉として、プロフィットセンターとコストセンターというものが存在します。
- プロフィットセンター
- 利益を生む部門
- コストセンター
- バックオフィスや研究開発を行うコスト部門
私が所属していたのはプロフィット部門。
プロフィット部門では、利益を出すことが最優先となるため、アサインされたプロジェクトに期間中は従事します。
ただ、私自身プロフィット部門に所属しながら、 - 社外と情報交換をすること - 新しい技術やビジネスモデルを学ぶこと
などが好きで、与えられた仕事以外にもやりたいことはたくさんあったため、不完全燃焼感を抱えていました。
基本的に、どの会社でも、「やることやっていれば、他のことをやってもいいよ」と言ってはくれますが、マネジメント側からすると、与えた仕事以外をされるのはあまり気持ちの良いものではないようで。。。
その理由を、私なりに考えてみたところ、SI業界特有の人月という考え方が邪魔してるようだ。
という仮説にたどり着きました。
人月という考え方
SIerのプロフィット部門において、個人の仕事は人月という単位で与えられます。
人月とは、「1人が1か月で行うことのできる作業量(工数)を表す単位」です。
つまり、定時時間内は、人月として与えられた仕事以外は、行わない前提です。
研修や間接業務は、それ用の人月として与えられるため、
- 「○○さんを1人月で△△プロジェクトにアサインする!」
となった場合、それ以外の仕事をすることはない、というものです。
これが成果物ベースの仕事の場合、「3か月で○○を完成させる」となれば、
- 「1か月で仕事を終え、余った時間を他に使う」
ということもでき、自由が利きます。
私は、夏休みの宿題を「はじめの一週間で終えてあとは遊びまくる」タイプだったので、今となっては「夏休み中宿題に従事し続ける」ような人月の働き方は少し合っていなかったようにも感じています。
(人月も本来、一月で終えられる仕事量として受けるため空いた時間を使うことは理論上可能ですが。。。)
私が感じたコストセンター
では、コストセンターに異動すれば私のやりたい仕事はできるのではないか。
私自身もそう考えました。
ただ、組織において、「コストセンターはプロフィットセンターが稼いだお金で"働かせてもらっている"」というような、上下関係を持ったような雰囲気もあり、直接お金を稼ぐ部署ではないコストセンターへの異動には前向きになれませんでした。
各々が自身の仕事に向き合えていればそれでいいと思いますが。。。
そもそも部署異動をすることについて
日本の昔ながらの企業ではよくあることかもしれませんが、「部署異動は後ろ向きな理由で行われるもの」という前提はどうも存在するように感じます。
実際、私自身が体験した部署異動の障壁として、
- 社内公募・FAのチャンスは年1回の限られた機会
- 出向者および出向から帰任後1年以内の者は社内公募やFA権は使えない
こういったものが存在しました。
私としては、公募ではなく、会社の下命での出向に対し、1年も拘束する制度に少なからず違和感を覚えていました。
結果として、出向の経験は大きな財産になりましたが、そうでないケースがあることを想像すると。。。
そんな背景もあり、1年間「ただただ待つ」ということはせず、転職という道をしっかり考えることにしました。
自分は今後何になりたいか
転職とひとえに言っても、選択肢はとても広いです。
そのため、「なりたい自分像」を中心に要素を洗い出し、その要素にマッチングするような環境を考えてみました。
なりたい人物像と必要な要素
急に子供みたいなイメージの伝え方をしますが、私は、
マンガに出てくる彼らのような、「多くの人との絆をもとにリーダーシップを発揮するような人物像」に憧れます(笑)
たかがマンガ、されどマンガ。
この人物像をもとに必要だと考える要素は、
- 明確な夢を持ち突き進めること
- 関わる多くの人間をひきつけ仲間になること
- 仲間に信頼されうる能力を持つこと
- 常に成長し続けること
このあたりだと思っています。
この要素を身に着けるチャンスがありそうな環境を求め、職場を探すわけですが、もう少し具体になるよう、人生計画に落とし込んでみることにしました。
私の人生計画
ここで参考にしたのが、 ソフトバンクの孫さんが19歳のときに立てたといわれている「人生50カ年計画」です。
- 孫さんの「人生50カ年計画」
- 20代で名乗りを上げ
- 30代で軍資金を1000億円貯め
- 40代でひと勝負し
- 50代で事業を完成させ
- 60代で事業を後継者に引き継ぐ
僕自身、孫さんと同じ人生設計をするイメージはないですが、 40代以降の計画は、非常に共感できました。
なので、私自身は、
- 20代で技術スキルを向上し社外に名前を売り
- 30代でビジネスで信頼できる仲間を集め
- 40代でひと勝負し
- 50代で事業を完成させ
- 60代で事業を後継者に引き継ぐ
このような形で人生を考えてみました。
私が求める環境
上記の人生設計をもとに、自身が求める環境を探してみました。
条件は、
- 技術スキルの向上および社外へのアピールができそうな環境
- 同世代の仲間との出会いがありそうな環境
- 起業文化がある環境
これらを軸として、さらに、「自身がこれまでに培ってきたITの知識が活かせる」という基準で企業選びをした結果、Web系企業への就職が一番イメージに近いと思い、 選考を受け、転職を決定しました。
Web系企業ってなんだろう
って人も多いと思うので、転職口コミサイトVorkersからリストを載せておきますね。
https://www.vorkers.com/company_list?field=0025&pref=&src_str=&sort=2
ここでいうインターネット業界が、それにあたるかと思います。
転職活動を終えて
この記事を見て、「割とスムーズに転職の軸決めから内定まですすんだのかな~」と思う方も多いと思います。
ただ、実際かかった時間を考えると。
- 社内での異動を考えたのが3か月(4月~6月)
- 転職の軸決めで2か月(7月~8月)
- 選考期間(9月~10月)
と半年以上かけての活動でした。
今回の記事で書いた考え方はほんの一部で、他にも、 - ビジネス雑誌や書籍、ネットの記事を読む - 信頼できる社会人の先輩や家族の話を聞く - 自分の考えをいろいろな人に発信する
この中でやっと、前に進めたような気がしています。
迷ったときの道しるべ
つらつらと書きましたが、一番伝えたいことをここに書きます。
迷ったときは、自分の中に答えを求めること!
人に相談すればするほど、だんだん頭が混乱してきます。
少々ドライですが、人のアドバイスは、 その人の価値観の下、受け手が最も都合よく動いてくれるようなアドバイスをします。
これはおそらく無意識なもので、自分の人生を否定するような発言は誰もしないので、結果としてそうなっていることが多い、という意味です。
僕自身もすごく悩みましたが、
マンガを通して、自分が何に心打たれるのかを再認識したり、
就活の時に「芸能事務所の総合職」や「テーマパークの総合職」を受けたことを思い出し、サービスを受ける立場の人の心を充実させる喜びを求めていたことを思い出したりする中で、
自身の中から答えにつなげられたと思っています。
最後に
結果として、自身は転職をすることになりましたが、これが正解かどうかはまだわかりません。
今後、人生の目標に向かって突き進む課程の中で、今この瞬間が意味のあるものになっていることが大切だと思っています。
今の職場でさらに成長し、夢に向かってこれからも進めること、
そして、夢をかなえた先に、また夢を描けること。
それが続いていくことができて、はじめて、この人生の選択が正しいと思えるのかなと思っています。
"Connecting The Dots"
スティーブ・ジョブズ氏がスタンフォード大学の卒業式で述べたこの言葉の意味は、その瞬間瞬間を真剣に生きた者のみ知ることができるものだと思っています。
この記事が、人生の先輩方や今を生きる同世代、そして、未来を担う後輩たちにとって実りのある内容になっていると幸いです。
ご拝読ありがとうございました。